最低で最高なヒッチハイク 東京→長野①
実は先日、ヒッチハイクで長野県の諏訪というところへ行ってきた。
2018年11月28日、わたしは出席カードを友人に託し4限の非文字媒体論を早抜けして明大前駅へと向かった。
16:30、明大前駅でYと合流。
そしてこちらが今回の旅の相棒であり、幸せの体現者としてこの世界に颯爽と君臨するYだ。
Yは、なんてったってすごいぞ。
たとえばYを無理やり一言で表現しなければならないとしたら、
ハッピーハピハピサンシャイン☆スマイルボンバーエブリワンッ❓💖 はーい!!!リピートあふたみ〜〜〜☺️\\\Power to the people ///
こんな感じか。……いや、まったく足りないな。世界中のシアワセを胸いっぱい抱え、行く道行く道にそのカケラを落としていく眩しすぎる太陽人間だ。
17:00、明大前駅から歩いて高架下の一般道へ。
2枚の画用紙を用意し、1枚にはでっかく「長野」と、もう1枚にはでっかく「方向」と書く。とにかく目立つように。「方向」と書いた画用紙は、停まってくれるターゲットの層を拡げるのに役立つそうだ。これはYとわたしの共通の友人であり、先日世界一周の旅を終えて日本に帰ってきた旅好きのKちんが教えてくれた。またそしてKちんはもう1つ、「男の人だけの車には乗らないようにすると安全だと思うよ!私はそうしてる!」というアドバイスもくれた。たしかに自衛は大切だと、Yとわたしは神妙な面持ちで確認し合った。
じゃーん、ヒッチハイクのはじまりはこんな感じ。もう暗い。17:10くらい。目標は「1166」(名前の由来なんだろう)という長野市にあるゲストハウス。予約はしたが、チェックイン時刻は21:00。
計画性は、ないーーーーー。
さて、画用紙をかかげるも、車はなかなか停まってくれない。
「いやマジで行けるのか?」
声には出さずとも2人の心には不安の影が。それもそのはず、どちらもヒッチハイクは人生で初めてだもの。
そこへ、男子大学生らしき男が2人歩道からわらわらとやって来た。
「えwwwヒッチハイクすかwwwいや、オレらはやったことないっすけど、ホントにやる人いるんッすね〜www」
チャラめの煽りを受ける。でも「頑張ってくっさいwww」と応援の言葉をいただく。語尾にはいちいち草。
するとその5分後くらいに、わたしたちの前に1台の車が止まる。
「八王子SAまででよければ乗ってくか?」
助手席の窓が開き見えたのは、世界で初めて無農薬・無施肥のリンゴの栽培に成功した奇跡のりんごでおなじみの木村秋則さん……似のおっちゃんだった。
↑木村秋則さん。
さて先頭で胸張って画用紙掲げてたわたしは、隣のYと目を合わせるまでもなく、
「え!!!ありがとうございます〜💖はわ〜😂ぜひお願いします〜」
といきなり女丸出しで嬉々として後部座席へ乗り込む。
Yも、「ありがとうございます〜☺️♬」と愛嬌たっぷりに応じる。ナイス連携プレーだ。
この瞬間、2人の間で「男の人だけの車には乗らない」という約束は暗黙の了解のもと消えた。ラララ〜。
なんかもう、とにかく早く出発したかった。あと言い訳するなら「絶対善意のおっちゃんやろ! 」という直感があった。まあ言い訳だが。
「出身地はどこですか〜?」
1台目なので、Yの質問も唐突でなめらかさがない。
「沖縄だ〜ガハハ」
沖縄出身のおっちゃんだった。
わたしは、「22のぺーぺー女子大生にこれからの人生のアドバイスってないですか? 人生の先輩に出会って、アドバイスもらおうってのが今回のヒッチハイクの裏テーマだったりするんですよね〜」
と聞いた。
「つらいときこそなんくるないさ〜だよ。人生なんだかんだ、なんとかなるから」
説得力が、あった。
格言①「つらいときこそなんくるないさ」
八王子SAでパシャリ。
どうだろう、木村さんを感じませんかね。
それから木村さんたちとバイバイして、YとわたしはSAの出口付近で再び画用紙を掲げはじめた。が、なかなか車は止まってくれない。
ショボーン……とはならず、写真を撮って遊ぶ変な勇気のありすぎるわたしと前向きすぎるY。
さてそこで作戦変更。トイレの前へ。なんでかっていうとトイレにはSAに寄るほとんどの人が行くし、ただ車を待つより積極的に働きかけることができるだろうと判断したからだ。
Y「ちょっとトイレ行く」
突然、Yがトイレに行っちまった。いやお前が行くんかい。いや冷静に行くよな。すまん。
Yは、「わたしがトイレから帰ってくるまでの間に次の人見つけたら100万円あげる!」という言葉を残していった。
ムムッ! がぜんやる気。
でも実際1人で画用紙を掲げるのは想像以上に恥ずかしかった。だが、そんなことは気にしてイラレナイ。100万もだけど、この時点ではまだ全然21時までに長野へ着くことを諦めてなかった。
男子トイレから出てくるメンズにちらっと視線を送り、ふっとそらし、恥ずかしげに俯く。まる吉原のNo1花魁のようにーーー。
すると、
「途中までしか行けないけど、乗ってくか?」
と、クソ寒いのにアイスクリームにパクつくサンシャイン池崎……のいとこ(いるんか?)くらいの類似度を示すあんちゃんが声をかけてくれた。
「いいんですか?あっ、ちょっともう1人いるんですけど、大丈夫ですか?あっ、もう来るんで……」
と話してるところにYがカムバック。
おおやるやん、とでも言いたげな表情のY。
「いつか100万円あげなきゃね〜笑」
Y、わたしにそっと耳打ち。
【悲報】ワイ氏、大好きな彼女に手のひらで転がられてるンゴwwwwwでも童貞だから転がされるの楽しすぎwwwwwwwww
さて池崎さんたちの車に乗車。
「いや〜オレもこんな年になっても作業着着てるとは思わなかったよ〜〜、ネクタイ締めてスーツ着てると思ってたけどなあ」
池崎さん、言葉とは裏腹にめちゃくちゃ楽しそうにそう語る。
そして話は池崎さんたちがどんな人生を歩んできたかにうつっていく。
「結婚って、どうなんですか?」
無邪気にYは聞く。
「女はねえ、子どもが生まれると変わっちゃうんだよなあ。奥さんにとって、いちばんはやっぱり子どもになっちゃうね……」
池崎さん、いろいろあったんだろうなあ。Yとわたしは、しみじみ。
つづいてナオトインティライミの15年後(生きてるか?)こんな感じかもなというもう1人のあんちゃんにも結婚について聞く。
「まあ優しいひとがいいよな。それと、女の場合はコレだな」
言いながら親指と人差し指をくっつけたハンドサイン、を出す。
確かにお金は大事、なんだろうなあ。Yとわたしは、しみじみ。
「そういえば優しいひとがいいってお前この前も言ってたよな笑」
「ああ、そうだよ。諦めてない笑」
「夢物語夢物語! アハハハ!」
ほんとに、仲良さそうだし仕事帰りで疲れてるかなとは思ったけれど終始楽しそうな2人だった。
「いや〜、ほんとに乗せてくれてありがとうございます」
「捨て犬かと思ったもんな」
「かわいそうすぎて『乗せてやろう』って即決したわ」
「まあ、女じゃなかったら乗せないけどなwww」
「クソババアだったらぜってえ乗せないなwww」
「クソババアになる前にいろんなこと楽しみな」
「うわ〜わたしたちもいつかはクソババアになるんかなあwww」
「おう、なるなる! みんなクソジジイとクソババアになるぞ〜!」
ワハハ!
格言②「みんなクソジジイとクソババアになるぞ〜!」
そして車は談合坂SAへ到着。
またもや1枚パシャリ。
「長野ナンバーの車に直接声かけるといいぞ〜!」と言い残して2人は去っていった。
ああみなさん、最低で最高なクソジジイ&クソババアになりましょうね。
ヒッチハイクの旅は続く。